■CALENDAR■
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31      
<<前月 2022年10月 次月>>
■LOGIN■
現在のモード: ゲストモード
USER ID:
USER PW:
■ADMIN■
ADMIN ID:
ADMIN PW:
■NEW ENTRIES■
■CATEGORIES■
■ARCHIVES■
■LINK■
■PROFILE■
■POWERED BY■
BLOGN(ぶろぐん)
BLOGNPLUS(ぶろぐん+)
■OTHER■

アキュベリノス技術講座 シーズン1 プリント配線板について(初級編) 第1回(第1章)アートワーク設計とは何か?
アキュベリノス技術講座
 シーズン1 プリント配線板について(初級編)


  第1回(第1章)アートワーク設計とは何か?

  今回のポイント
   アートワーク設計は3D

1:はじめに

 電子回路設計者のみなさん。みなさんはプリント配線板(以下、プリント基板)のことについて、どれだけのことをご存知ですか?回路設計とは、HDLで記述することや、CADで回路図を描くことだと考えていませんか?正しく動作する電子回路設計とは、プリント基板を伝送路として扱い、かつ、使用する部品の選択やその配置など、部品の実装条件を加味したプリント基板のアートワーク(設計)知識が必要です。シミュレータ上で動作しても、実際にはプリント基板上で動作するのです。

 本編は電子回路設計者の経験が2〜3年の方向けに、電子回路設計の後工程であるプリント基板のアートワークから実装までの最低限これだけは知っておいてもらいたいことを、初級編として12回に渡って連載します。入門編ではありませんので、基礎的な用語や知識は既にご存知でおられることを前提と致しますのでご了承下さい。

 老練の電子回路設計者は、プリント基板設計を自分自身でそれなりに経験してきましたが、分業化が進んだ約20数年前からの電子回路設計者は、量をこなすために後工程を任せきりにして、技術理解の習得を怠ってきた傾向を非常に感じます。特に高速伝送回路は、プリント基板について熟知していないと回路自体が動きません。また、これからの日本のものづくりは、開発工程全体を見渡せること、原理原則をしっかりと押さえて行くことが大切だと思います。
 このブログが、そんな技術者を目指す若い電子回路設計者の一助になればと思います。

 さて、今の電子回路設計者から回路設計後の工程を見ると、以下のような疑問がありませんか?

  ◆回路設計者として、後工程のどのようなことを知っていれば良いのか?
  ◆アートワーク設計は何をしているのか?
  ◆高速な回路を動作させるためには、何に気を付ければ良いか?
  ◆アートワーク設計者にどのような情報を出せば良いのか?
  ◆プリント基板の構造は?性質は?どうやって作られる?価格はどう決められる?
  ◆部品実装は回路の動作に影響するのか?どんな事象が実装にとって難しいのか?環境問題への対応は?

 この辺りを初級編で説明していきます。

2:アートワーク設計とは何か?

 アートワーク設計は、2D(2次元)を3D(3次元)にする仕事とも言えます。つまり、回路図のように、実体のない情報を基に、性能を出すための考慮、使用する部品の形状(高さも含む)、ピン配置などの制約、また、実装条件などの考慮を行った上、実体の伴ったプリント基板を製造するための設計です。



 アートワーク設計というのは、電子回路製品の開発工程の所詮一部でしかありません。しかしながら、次元が1つ増えるという観点から見ると、非常に重要な工程でもあります。また、最近の高速な回路を実現するには、プリント基板の材料や実装を考慮したアートワーク設計の技術が求められます。

3:プリント基板の中の3D

 回路図に記載された通りの部品端子同士の接続を、プリント基板上ではパターンとVIAと呼ばれる電気的に導通したスルホール(以下、VIAと呼ぶ)を使って、パターンはVIAを通して別の層に縦横斜めに配線して行きます。つまり、プリント基板をトップビューで透かしてパターンだけを見ることができれば、重なって見える状態にあるということです。
ここで多層板について注意点があります。それは多層板の場合、各層間は意外と狭いという点です。

1)どれだけ狭くなるのか?

 プリント基板の標準的な厚みは1.6mmです。つまり2層基板だと、層間は1.6mmで広いです。しかし、4層板となると、基板材料の入手性の関係で、1-2層間と3-4層間は各0.3mmに、2-3層間が1.0mmということもあるのです。層数が増えるさらに狭くなります。一度、依頼先のプリント基板工場に確認することも必要です。

2)層間が狭いとどうなるのか?

 まず、クロストークが気になります。クリティカルな信号の隣接層はGNDが良いのですが、そううまく配線できない場合もあります。その時でも隣接層での信号ラインを平行で配線することをできるだけ避けます。また、アートワーク前に層構成を検討し、信号配線層と電源層とGND層をそれぞれ割り振ります。どうしても信号層同志が隣接する場合は、1層目は縦、2層目は横、など配線方向ルールを決めたりもします。
層構成は非常に重要で、プリント基板工場への指示にも使用します。特にインピーダンスコントロールが必要なプリント基板では不可欠になります。この詳細については、今後説明して行きます。
 次に、いくら狭くても隣接層がGNDであれば、不要輻射や外乱ノイズの遮蔽が利くという有利な点もあります。隣接層同志がVCC-GNDベタであれば、層間での静電容量が増し、パスコンの役目を果たすこともあります。

4:プリント基板の外の3D

 プリント基板の上には、電子部品が実装されます。また、部品が実装されたプリント基板の複数が、筺体に取り付けられることがあります。どちらもプリント基板以外の空間を支配するもので、アートワーク設計の工程でいう部品配置に関わってくることです。電子回路設計者が指示するところの高さ制限に当たります。
昨今のモバイル製品のように、狭い筐体の中にプリント基板を挿入することになり、当然プリント基板に搭載する部品の位置も制限を受けます。

 これをアートワークCADではどのように扱うかを少し説明します。
 高額なアートワークCADではディスプレイ上で3D化した映像を出せますが、普及している一般的なCADでは、そこまでの機能はありません。共通している点は、CADは階層構造で各数値を持っていることです。
 以下にアートワーク用CAD内部での階層構造の定義例を記します。

    1層:部品面導箔
    2層:部品面レジスト
    3層:部品面シルク
    4層:部品面部品禁止領域
    5層:部品面配線禁止領域
    6層:部品面高さ制限(〜mm以下

    11層:はんだ面導箔
    12層:はんだ面レジスト
    13層:はんだ面シルク
    14層:はんだ面部品禁止領域
    15層:はんだ面配線禁止領域
    16層:はんだ面高さ制限(〜mm以下)

    21層:VIA禁止領域
    22層:キリ穴禁止領域

 上記の禁止領域や高さ制限を定義している各層に、その領域図形を入力して行くことになります。
 CADにはDRC(Design Rule Check)という自動チェック機能があり、上記の層に領域設定しておくと、部品ライブラリで設定した部品外形や部品高さに抵触するとエラーを出してくれます。しかしこの機能が付いていない安価なCADもありますので、その場合は目視チェックとなってしまいます。
 電子回路設計者としては、高さ制限をpdfなどの図面で指示して良いですが、それではアートワーク設計者が一から画面入力して行くことになります。アートワークCADに取り込める図形データで必ず指示をして下さい。
 複雑な高さ制限(徐々に高さが変化するなど)の場合は3D機構系CADで筐体を設計する場合が多いので、そのままデータを支給すれば、アートワークCADを持っているアートワーク設計会社であれば取り込んでDRC機能でチェックできます。

 今回はここまでとします。次回は第2号(第2章)「アートワーク設計から部品実装までの概要」を予定しています。

第1回(第1章)アートワーク設計とは何か? 終わり
ご意見、ご質問: tetsuzan@accverinos.co.jp
(本書は、株式会社アキュベリノスの著作物です。許可なく掲載、転載等を行うことを禁止します。)


| http://accverinos.jp/cp-bin/blogn/index.php?e=5 |
| 開発こぼれ話 | 11:29 AM | comments (x) | trackback (x) |
PAGE TOP ↑